コラム 習志野

10年以上変わらない習志野の打ち方

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まず前提として、この記事は習志野高校を取材したものではなく、私の偏見と独自の観点だということ。一種の考察であることを理解して読んで頂きたい。

習志野のバッティング理論

私はここ約10年、プレイヤーとして、引退してからはファンとして千葉県の高校野球に携わってきた。その中で気になっていることが一つあった。
それは習志野高校の打撃スタイルについて。私が見てきた10年間習志野の選手たちは全員全く同じ打ち方をしている。耳の横にトップを作り最短距離でぶつけていく。亀から振り出しまでトップの位置がほぼ動かないのが特徴だ。トレンドのヒッチや縦振りの打撃をする選手は一人もいない。
記憶にある限りで、私が最初に見た習志野高校の打者は山下斐紹(楽天)だ。山下の打撃を見て当時の私は「こんなシンプルな打ち方でよくあれだけ飛ばせるな…」と唸ったのをよく覚えている。高校時代の山下の打撃はYouTubeに載っているので気になった人は見て欲しい。※https://youtu.be/AWkCfrQ-CB8

山下も現在の習志野高校の打者も、打ち方の本質はほとんど変わっていない。今年も櫻井山内角田など好打者が名を連ねるが、彼らの打ち方も前述した最短でぶつけていく打ち方で、トップの位置が全く動かない。なぜ皆打ち方が同じなのか。

キーワードは「金属バット」と「硬式球」


私が考えるに「金属バット」「硬式球」普段何気なく使っているこの二つの道具が大きく関わっていると考える。

ここであえてボクシングで例えてみよう。ボクシングは「ジャブ」「ストレート」を駆使して戦っていくスポーツだ。もちろんジャブだけでは相手を倒せない。では、なぜジャブだけでは勝てないのか。それはパンチの力や勢いが足りないからである。相手を倒したいなら勢いをつけたストレートパンチを打つことが必須である。ただ、ミスショットなどが起きる可能性がジャブより高いため、ジャブとストレートの二つを駆使して戦っていくのである。

雑なこじつけだが、習志野はこのジャブだけで相手を倒し千葉県のトップをとっている。なぜそんなことができるのか。それは、ジャブを繰り出す習志野のパンチンググローブには反発力がついているからだ。金属バットのことである。硬式ボールを金属バットで打てば大きな反発力を生むことは硬式野球経験者ならわかることだろう。※木製バットや軟式ボールだと話はまた変わってくるが。

おそらく習志野は、硬式ボールを金属バットで打てば、特別な勢いをつけなくても飛んでいくことを本質的に理解してバッティングに臨んでいる。もし仮に高校野球が木製バットを使うスポーツであったら、それにあわせて打ち方も変化していることだろう。高校野球というスポーツの本質を理解した上で非常に合理的な取り組み方だ。スタンド上段に突き刺さる150mのホームランと、ホームランテラスに入る90mのホームラン。どちらの価値も結果上は一緒である。ヒットの価値もどんな打球であれ一緒だ。
ヒットを打つにはバットの芯にボールを当てれば良い。おそらくバットの芯にボールを当てる最も確実性が高い打ち方が現在の習志野の打ち方だ。その打ち方をやれという首脳陣の要求に120%答えられるのが習志野で試合に出ているメンバーだろう。

甲子園への行き方を知っているスタッフ。そのスタッフの要求を遂行する選手。派手な選手はいなくても毎年好成績を残せる理由は、チームとしての完成度の高さにあるのかもしれない。

 

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